回路説明
- IC1は電圧コンパレーター(reset IC)で,バッテリー(電源電圧)が低い時にIC2に電源を供給します。
- IC2Aは発振器。並列に接続されたIC2B〜IC2Dでバッファリングし,D3,D4のダプラー(倍電圧整流)で電源電圧をブーストした後,IC3に電源供給を行っております。
- IC1とIC2で構成される回路にてパワーMOS-FETのゲート駆動電圧が閾値を下回らない様にしております。
- IC3は臨界モードで動作するスイッチング電源用の集積回路で,ここでスイッチングされたエネルギーを+B上にフライッバックし,LEDへ供給しております。
- LEDに流れる電流はモニタ抵抗R13,R27により電流電圧変換され,高コモンモードリジェクション(0.1%精度抵抗を使用)の作動増幅器IC4Bにより直流レベルシフトされます。(Vrefセンター)
- これをエラーアンプIC4Aに入力し,IC3へ帰還させることで,LEDを定電流駆動しております。
- 一般的によくあるMOS-FETのソースに挿入された電流モニター抵抗(ここではR10)の波形トップを一定に制御する様な電流駆動方式では,電源電圧の変化によりスイッチング回路の二次側に配されたLEDの駆動電流は,実は大きく変化してしまいます。この方式は一次側の電流値を一定に制御しているにすぎず,二次側からのフィードバックなしにワイド電源には対応できません。
- IC3の2番ピンは内部エラーアンプの出力ピンとなっておりますが,これをエラーアンプとしては使わず,高精度のツェナー電圧(Vref)生成に使用しております。Q3はVrefのバッファーとなります。
- LED出力端子(+)側をR23,R24にて分圧し,エラーアンプに割り込み帰還をかけることにより,LED端子が無負荷になった時の電圧制限(保護回路)としております。
- LEDへの電流供給はインダクターL1とC11,C12により平滑しておりますが,電源電圧が低い時にはスイッチング周波数が低くなりますのでどうしても脈流となり,リップル含有率が高くなってしまいます。
- 無負荷通電中にはLED出力端子電圧は前出の電圧リミッターに張り付いており,この状態でLEDを接続しますと,平滑コンデンサーC11,C12にたまった電荷がLEDへ突入放出されますので,LEDを破壊する結果となります。
- 出力側にコネクターを配し,抜き差しができる様なアプリケーションをしなくてはならない場合には4端子接続とし,LED側に平滑コンデンサーを配する様にインターロック機能を設計追加してください。
- LumiledsLighting社製のLuxeon1シリーズでは絶対最大定格Ifpが500mAとなっており当該LEDドライバーのリップル電流ピーク規格を僅か下回ります。(実力的には問題ありません)
- リップルピーク電流を抑圧したい場合には,平滑コンデンサーの容量UPや二重平滑などの手段で回避可能ですので,この様な場合にはご相談ください。
- 尚,Ifpにマージンがある日亜化学工業のNSJW036AT,NS6W083T等を推奨します。
- パワーLEDは想像以上に壊れやすいものです。寿命が長いと聞いてLEDを採用したが故障が多く,思ったより短命で困っている,といった事例が多い様です。理由は電流集中が起きているからであり,蛍光灯などの普通の照明器具の様に考え,扱っていたのでは当然の結果です。LEDの故障特性はレーザー・ダイオードに近い挙動を示します。手前味噌でありますが,レーザー・ダイオードのAPC回路経験豊富な故にLEDの特徴である長寿命を余すところ無く引き出すアプリケーションが可能です。
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