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調光制御回路設計要項


●fig-1 の回路図は電源トランスを搭載した一般の電子機器の電源回路です。日本国内の商用電源は単相二線で供給されており,片側が接地されております。接地側とは反対側の電極に人体が接触すると感電の危険がありますが,トランスを介して電力供給された二次側にはこの感電の危険はありません。これがトランス式の電源が多用されている理由です。
【fig-1】
トランス式電源を持つ一般の電子回路
●一方,fig-2 にある様な蛍光灯インバーターなどの電源回路は,トランスを介さずに,商用電源をいきなり整流し,何らかの変換加工をして外部に電力を供給しております。
回路全体が「活電部」と呼ばれる感電の危険がある回路網となり,「可触金属部」と呼ばれる金属の入れ物(筐体)や,操作部に当たるツマミやジャック,コネクターから回路全体を絶縁し,ユーザーが感電する危険を回避する必要があります。
【fig-2】
全体が活電部である電子回路
●AQ-F,AQ-FT,およびAQ-PWシリーズの調光ポートはfig-3 にあるように,フォトカプラーで一次側活電部より絶縁し,制御側のロジック回路を活電部から絶縁隔離しております。
●インバーター基板のポートは全ての機種で共通のインターフェースとなる,日圧 EH 3Pコネクターを採用しており,フォトカプラーのLEDは下の回路図の様に#2と#3に接続されております。
●調光機能を使用しない時はこのコネクターを解放(未接続)するか,フォトカプラーのLEDに電流を流さない状態にして下さい。
●ここに何も接続せず,インバーターに電源(AC100V)を供給すれば,蛍光灯は100%の明るさで点灯します。PWMポートの駆動方式はオープン・コレクターまたはアクティブ・プルアップ,何れも可能です。
●フォトカプラーのLEDに電流を流すとインバーター回路の発振が停止し,インバーターに電源が供給されていても蛍光灯は点灯しません。
【fig-3】
調光ポートインターフェース

●fig-4 右波形は32型Hf直管45W駆動インバーターによる電源投入直後の波形です。
@の部分で高い電圧が立っており,これがイグニッションパルスとなります。
Aの部分は波形だけでは判定できませんが,受光素子等を蛍光管中央部に当てて時間ドメインで観察すると,発光が始まっているのが分かり,これがグロー放電であることが分かります。グロー放電は10mS以上続いております。
●ランプが環境温度に同化している場合(コールドスタート)には,このグロー放電時間がどうしても長くなります。同時にフィラメント電圧Cも高くなっており,グロー放電中に予熱されている事が分かります。
Bは通常の100%点灯でアーク放電へ移行しております。
●イグニッション電圧が高く,グロー放電時間が長い場合には,蛍光灯の寿命に影響を与えます。AQ-GGシリーズ・予熱機能の説明を御一読ください。
【fig-4】
電源投入後の波形
ch1:管電圧ch2:管フィラメント電圧ch4:トリガー

●fig-5 右の波形は50%調光を行った時の波形です。時間軸が1mS/divであることに注目してください。
点滅の周期はコールドスタート時のグロー放電の期間より短く,PWM調光における点滅の挙動はコールドスタートのそれと大きく異なります。
これは,PWM調光での消灯期間で,ランプのフィラメント温度が気温と同化していないことに由来し,ランプに対してある程度の電力が継続供給されていれば寿命に与える影響は少ないことが分かります。
●調光は点灯と発振停止の繰り返しを200Hz〜1kHzの周期で繰り返し,PWM制御をする事により実現します。絞り過ぎによる電力供給の過小を考慮し,制御範囲は20%〜100%(明るさ)の範囲として下さい。調光深度では80%〜0%に当たります。
20%以下に絞る事は可能ですが,蛍光管フィラメントの摩耗が加速し,短寿命となります。
【fig-5】
電源投入後の波形

●fig-6調光特性から判る様に,20%以下のデューティーからのスタートは起動不安定となります。一旦,100%の(50%以上の)キックを1秒程度行ってから20%に絞る様な制御が好ましい制御となります。理由は,調光制御信号のパルス幅と照度は直線的に比例しますが20%以下のパルス幅では絞って行った時と立ち上げていった時にヒステリシスが生じるからです。fig-6 参照
●ヒステリシスカーブの0%→100%方向への変化で,照度の下降(凹)部分と消費電力の上昇(凸)部分についてもご注目ください。照度が低いにもかかわらず,消費電力が大幅に増大する原因は,蛍光管がアーク放電に移行できず,グロー放電を抜け出せない為です。さらにこの状態ではインバーター二次側の力率が大幅低下し,回路電力の損失につながっており,デバイスの発熱も著しくなってしまいます。
【fig-6】
AQ-F18W調光特性

●fig-7 は20%から100%に調光レートをスイープさせた時の動的な波形画像です。
100%に近づくにつれ放電開始電圧が低くなって行くことが分かります。
●蛍光管にラピッドスタート式や調光用の銅箔ストライプの入ったものを使用しますと,調光範囲をより広く設定する事が可能です。
また蛍光管の中央付近の高周波電位を周囲の金属の配置によって最適化する事により,銅箔ストライプと同等の効果をもたらす事も可能です。
●以上の様な理由から,電源投入時は暗い状態で,後に明るくする様な制御は,できるだけお避け下さい。
やむ終えずこの様な制御をする場合には短時間で深度が浅くなる様な制御をして下さい。
この場合の蛍光管ライフ特性は蛍光管のメーカーや機種により大きく異なりますので,ライフの目標値を設定し,複数の機種で所定のアルゴリズムによりライフ・テストを実施される事を推奨いたします。
【fig-7】
調光スイープ波形

●調光深度を固定し,連続した調光を行いますと,蛍光管の寿命を劣化させる原因となりますが,そもそも銅鉄型バラストを用いたスターター方式よりインバーター駆動の方が蛍光管のフィラメントに与えるダメージが遙かに少なく,寿命特性は大きく改善されており,弊社の実験ではインバーター駆動20%連続調光と銅鉄駆動スターター方式とほぼ同じ寿命時間となっております。尚,この実験結果は全ての蛍光管の機種に於いて当てはまる訳ではありませんので御注意ください。
●連続調光を行う場合,必ず試験を実施することを推奨致します。この際,想定される点灯インターバルで標準的な銅鉄型との比較を同一ロットの蛍光管で複数実施される事を推奨します。
この様なプロトコルで試験を実施すれば,結果がグレーとなった場合の判定が能率的に進みます。
●スターター型の蛍光管は基本的に調光を前提として設計されておりません。弊社AQ-T01Aが制御する1日10時間程度の点灯時間のうち調光している時間が2時間程度の制御方法を逸脱し,連続調光や0%からのスタートを設定される場合には必ず寿命試験を実施し,システムとして要求されるライフとの兼ね合いを念頭において設計してください。
ライフテストは時間がかかる試験ですので,想定される複数の制御方法や標準的な方式との比較テストを同時にスタートさせる方法が結果を導き出す早道となります。
●電気工事的感覚でシステムを構築する事はお止め下さい。上記の様に様々な問題があり,認識不足のまま設計を進めると,システムの信頼性確保が困難となります。信頼性を確保せず稼働を初め問題が出た場合には施工依頼主,施工請負業者,当工房の三者でリスクを背負う事になります。このリスクを回避する為にも大量発注する前に少数でシステムを構築し,寿命試験や稼働テストを実施してください。見極めのついたところで数量発注,施工,稼働を実行してください。
●蛍光管や照明器具に対する知識はメーカー発行の電材カタログや施設照明,ランプ・カタログに記載されております。
●画像処理装置などに調光機能を使用する場合には次の二点に留意してください。
【1】調光に使うチョッパー周波数が概ね1kHzです。蛍光管の残光作用はあるものの,この周期で明暗を繰り返しており,画像処理系がNTSCの場合,水平同期fhとの差の周波数で起きる横縞妨害が発生します。具体的には横方向に筋状の明暗が若干発生します。この横筋が問題となる場合にはNTSCのインターリーブを利用し,PWM信号をfhの奇数倍の周期に同期される事を推奨します。
【2】画像処理の精度,カメラのシャッタースピード,画像処理の目的などにより調光による副作用の程度も異なりますので,実験により適切な方法を見出して下さい。
●画像処理装置などで非調光でAC電源タイプのインバーターを用いる場合のフリッカー妨害について,インバーターの整流回路には大容量の電解コンデンサーを使用しておりますが,リップルが残留しており,若干ではありますが,これと同期したフリッカーが発生します。このフリッカーは商用電源の2倍の周波数となり,NTSCの垂直同期fvとの差の周波数で映像信号に輝度方向の妨害をもたらします。この妨害が問題である場合には平滑コンデンサーの容量を増やすか1整流回路当たりの蛍光灯の本数や消費電力を減らしてください。2灯用のインバーターに於いては,1灯で使用することで平滑コンデンサーを2倍に容量アップしたのと同等の効果が得られます。
●8bitデジタル信号からPWM信号を生成するには,下記fig-8 の回路を使用してください。
【fig-8】回路構成は(1)ラダー抵抗抵抗によるDAコンバーター(2)コンパレーターによる三角波発振器(3)コンパレーターによるPWM変換.
8bitパラレルをPWMに変換

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